風邪に対しての漢方医学の考え方

12月になりました。ほんとに早いもので今年も残り1ヶ月ですね…(^^;)

 

 

暖冬と言われてますが、だいぶ寒さもましてきました。

 

風邪を引かれませんようくれぐれもお気をつけください。

 

ということで、昨日は葛根湯をはじめ風邪の引き始めに使う漢方薬を動画でお伝えしましたが、
今回は文章で、漢方医学では風邪をどのように捉えているかを書かせていただきます。

 


西洋医学の風邪の治療は、原因となるウイルスや細菌をやっつける薬を使ったり、前もって予防注射で免疫をつくっておくという考え方です。

 

この方法の欠点は、病原菌がわからなければ、極端に言えば、治療ができないということになります。

 


漢方医学は、どのような種類の細菌、ウイルスかということは問題にしません。

 

ひっくるめて邪気(じゃき)として捉え、その邪気が体のどの部分に侵入したかに重点をおきます

 

そして、その侵入部位へ到達する漢方薬を使い、邪気を体の外へ追い出すのです

 

邪気を殺すのではなくて、追い出すという考え方です。


そして、追い出すときに人が本来持っている正気(せいき)が必要となります

 

現代医学でいうところの自然治癒力とか免疫力といったものです。

 

漢方薬は、この正気の力も強めるわけです

 


例えば、風邪を引いてゾクゾクと寒気がする、頭が痛いというときは、邪気は皮膚の表面に近いところにいます。

放っておくと中へ中へと侵入していきますので、即座に汗を出させて一緒に外へ放り出します

葛根湯や麻黄湯などの漢方を使います。


風邪を引いて吐き気がするときは、邪気は食道から胃の中にいます。

指を喉に突っ込んででも吐いてしまいましょう

そうして邪気を外へ放り出します。

吐くのが辛いと言って我慢していると、邪気は一段と体の奥へ侵入していってしまいます。

指を突っ込むのがどうしても嫌な人は、五苓散とか小柴胡湯などの漢方を使います。

吐きやすくなったり、吐き気を止めて汗や尿で邪気を追い出してくれます。

食中毒の場合も、腐ったものを食べて弱った胃のところへ、四方八方から邪気が侵入してきます。

 

それを放り出すのに失敗してに侵入されると咳が出ます。

段々と厄介になってきます。

こうなってくると、麻杏甘石湯や麦門冬湯などの漢方を使って肺の中の邪気を追い出します。


人間の体では、不要になった物を外へ出す一番の下水道は大腸です。

邪気が侵入して何日も経つと、大腸の方へ大腸の方へと人の正気は邪気を追いやります。

もちろん漢方薬もその手伝いをするのですが、その結果、風邪を引いて数日経つと気持ちよく大便が出ます

こうなれば、体は回復へ向かっていくのです。


また、風邪を引いてしばらくの間は、汗も出ませんし、尿も出にくいですし、便秘にもなりやすいものです。

正気と邪気が体内で戦っているからです。

そして、汗か尿か便が気持ちよく出だすときは、正気が勝利した結果です。

それからは回復に向かいます。

 

逆に正気が敗れ、邪気が勝利すると体はどんどん弱っていきます。

食欲はなく、体はだるく、熱も出たり引いたりし、薬も受け付けないといった状況になります。


風邪を引かないよう予防するのにも、風邪を引いてしまって早く治すのにも、正気の力が重要というわけなのです。

 

 

風邪は疲れの表現(あらわれ)と言ったりするのですが、

疲れがたまっていて正気が衰えていると風邪を引いてしまうわけなのです。

 

ですから正気が衰えないようにすることが大事です。

 

正気を補うような漢方薬やサプリもありますので、そちらもご相談ください。

風邪を引きにくい体づくりをしましょう(^^)

 

 

(有野台薬品 井上満弘)